ディスペンサーノズル(塗布ノズル)とは
ディスペンサーノズルは、液体を精密に塗布するディスペンス装置の先端に付ける部品です。塗布する液体の種類は様々で、腐食性の高いもの、摩耗するもの、高粘度のものなど、多岐に渡ります。そのため、ディスペンサーノズルも液体の特性に合わせて、材質が使い分けられています。
私たちの身近なところでは、スマートフォンやパソコンに内蔵されている精密な電子部品を固定するための接着剤を塗布したり、3Dプリンターで材料を吐出したりする際に、ディスペンサーノズルが活躍しています。その他にも、医療機器で検体を扱うノズルや、人間の細胞を3D形状に噴射するノズルなど、様々な分野で利用されています。
ディスペンサーノズルを使うメリットとは
高精度な作業を実現
ディスペンサーノズルは、液体の吐出量を精密に制御できるため、常に一定の量を安定して塗布することが可能です。これは、製品の品質を均一化し、歩留まりを向上させるだけでなく、作業の効率化にも大きく貢献します。特に、微量な液体の塗布や、高い精度が求められる作業においては、その効果が顕著に現れます。
コストの削減
ディスペンサーノズルは、必要な量だけを正確に吐出できるため、液剤の無駄を最小限に抑えることができます。手作業の塗布では、どうしても液剤の過剰な使用や、塗布ムラによる不良品の発生などが課題となっていましたが、ディスペンサーノズルを使用することで、これらの問題を解決し、材料コストの削減に繋がります。
作業の自動化
ディスペンサーノズルは、ディスペンサーの自動化システムと容易に組み合わせることが可能です。ロボットアーム内臓ディスペンサーにディスペンサーノズルを搭載することで、複雑な形状のワークへの塗布や、大量生産ラインへの導入など、自動化による省力化・効率化を実現できます。
ディスペンサーノズルは、これらのメリットを実現するために、高度な加工技術によって製造されています。特に、液体が通過する内部の流路形状や、吐出する先端部分の精密な加工が、正確な吐出量と安定した性能を確保する上で重要な要素となります。
ディスペンサーノズルが定量吐出を実現できる理由
ディスペンサーノズル内部の流路は、液体の流れをスムーズにするように設計されています。流路の断面形状や曲率、表面粗さなどを緻密に制御することで、液体の乱流や圧力損失を最小限に抑え、安定した流量を確保しています。
次に、吐出する先端部分には、微細な穴が設けられています。この穴の直径や形状、角度などを精密に加工することで、吐出量と吐出パターンを正確に制御しています。さらに流路内面が滑らかになるように鏡面ラップをすることで、液体の付着や目詰まりを防ぎ、安定した吐出を可能にしています。
また、ディスペンサーノズルは、使用する液体に合わせて材質が選択されます。液体の粘度や腐食性、温度などに応じて、最適な材質を用いることで、耐久性や耐薬品性を向上させ、長期間にわたって安定した性能を発揮できるように設計されています。これらの精密な設計と高度な加工技術によって、ディスペンサーノズルは、低粘度の液体から高粘度の液体まで、様々な液体を正確な量で吐出することができます
当社のノズル試作・製作の3つの特徴
⓵1個からでも特殊形状やロングノズルに対応できる柔軟性
豊富な経験と技術、そして充実した設備により、お客様の多様なニーズにお応えします。高精度な円形加工から微細な穴加工、複雑な形状の加工まで、あらゆるノズル加工に対応可能です。
②あらゆるご要望に応えられる確かなノウハウと加工実績
吐出ノズルにおいては、個体差を極力抑え、安定した吐出性能を維持することが重要です。当社は、長年培ってきたノウハウと高度な加工技術により、高精度な鏡面ラップ仕上げや内面テーパー加工を実現し、難易度の高いロングノズルや特殊形状のノズルにも対応いたします。
③超高精度なノズル加工とVA/VE提案が可能
単に図面通りに加工するだけでなく、お客様の課題解決に貢献するため、機能性とコストの両立を追求します。例えば、耐摩耗性とコストのバランスを考慮した材質の選定や、分割構造の提案など、お客様のニーズに合わせた最適な解決策をご提案いたします。
当社のディスペンサーノズルの製作事例をご紹介
超硬ディスペンサーノズル(先端穴Φ0.1)
このディスペンサーノズルは超硬の丸棒から円筒研削・型彫放電で製作したものです。先端穴Φ0.1に向かって型彫放電加工機にてテーパー形状になるよう加工されております。ディスペンサーノズルでは液体の流れを良くするために先端穴に向けてテーパー形状に仕上げることはよくありますが、この超硬ディスペンサーノズルに関しては、ストレート部を設けないテーパーのみの形状でΦ0.1を作っています。型彫り放電加工機の電極を少しでも深く入れると先端穴の大きさが変わってしまいますので、非常に高い技術が求められる製品となっています。
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セラミック製ディスペンサーノズル(先端穴:φ0.45)
このセラミックノズルは、お客様のご要望を受け先端部:φ0.45で仕上げたディスペンサーノズルです。摩耗する材料が含まれる液体を、高い圧力をかけて吐出する用途の場合、ステンレスなどの材質であればすぐ摩耗をしてしまいます。そういったケースでは今回ご紹介するようなセラミックノズルを推奨しています。
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ステンレス製ディスペンサー(塗布)ノズル
このステンレスSUS304製のディスペンサーノズル(塗布ノズル)は、内部の穴がφ2.0・φ1.0・φ0.05の3段構造になっており、φ1.0からφ0.05の間は33°のテーパー形状でなめらかに繋がっています。この塗布ノズルは液体を精密に定量吐出する必要があるため、この部分をなめらかに仕上げないと機能を果たせません。こうした塗布ノズルに求められる機能を満たすために、特注精密ノズル加工.COMを運営する㈱キンコーでは、高精度マシニングセンタ・細穴放電加工機・型彫り放電加工機などの精密加工設備を駆使し、さらに職人によるラップ仕上げを加えることで、高精度なノズル加工を実現しております。ディスペンサーノズルなら当社にお任せください。
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