三角形

ディスペンサノズル塗布における液体の性質

ディスペンサノズルを用いた精密な液体塗布は、ノズルと塗布対象物だけでなく、塗布される液体の性質に大きく左右されます。

粘度

液体の粘度は、その流れやすさを示す指標であり、ディスペンサノズルからの吐出量と形状に直接的な影響を与えます。高粘度の液体の場合は、 一般的に吐出速度は遅くなり、切れが悪くなるため糸引きが発生しやすくなります。そのため、精密な微量塗布には不向きな場合がありますが、厚膜塗布には適しています。一方の低粘度の液体の場合は、吐出速度は速く、比較的安定した吐出が可能です。しかし、過剰な吐出や液ダレが発生しやすいため、微細な塗布には精密な制御が求められます。

ぬれ性

ぬれ性は、液体が固体表面に広がる性質であり、塗布後の均一性と密着性に大きく影響します。ぬれ性が高い液体の場合は、塗布面に薄く均一に広がりやすく、良好な密着性が得られるため、微細なパターン塗布や、複雑な形状への塗布に適しています。一方のぬれ性が低い液体は、塗布面で弾かれやすく、均一な膜厚が得られにくい場合があります。また、密着不良の原因となることもあります。
ぬれ性を向上させるためには、液体の組成調整や、塗布面の表面処理などが有効な手段となります。

表面張力

液体の表面張力は、液体が自らの表面積を最小にしようとする力であり、ノズル先端からの液滴形成に大きな影響を与えます。表面張力が高い液体の場合、球状の液滴を形成しやすく、微小な液滴の制御が比較的容易です。微量塗布やインクジェットなどの用途に適しています。しかし、ぬれ性が低い場合は、塗布面で弾かれる可能性があります。一方の表面張力が低い液体の場合は、液滴が形成されにくく、ノズル先端から糸状に垂れたり、広がりすぎたりする傾向があります。微細な制御は難しくなりますが、ぬれ性が高い場合は、薄膜の均一塗布に適しています。

液体の性質

塗布する液体の腐食性は、ディスペンサノズルや塗布対象物の材質選定において最も重要な考慮事項の一つです。腐食性のある液体の場合、ノズルや塗布対象物を腐食させ、塗布不良や装置の寿命低下につながります。特に、金属製のノズルを使用する場合は、耐薬品性に優れた材質を選定する必要があります。また、塗布対象物への影響も考慮し、保護処理や適切な材料選定が求められます。一方の腐食性のない液体の場合は、比較的広範な材質のノズルや塗布対象物を使用できますが、長期的な使用においては、液体の成分による劣化の可能性も考慮する必要があります。液体の腐食性は、その化学組成やpHなどによって大きく異なります。事前に十分な評価を行い、適切な材質を選定することが、安定した塗布プロセスと装置の長寿命化に不可欠です。