三角形

液だまりを残さないノズルの内面加工

ノズルとは

ノズルとは、液体や気体を一定の方向に噴出させるための部品であり、製造業や化学工業、医療分野など幅広い用途で使用されています。ノズルの設計次第で流量、速度、噴出角度などの性能が決まり、これが製品の品質に大きな影響を与えます。

ノズルの液だまりとは

液だまりとは、ノズル内部やその周辺に液体が残留する現象を指します。この現象は、液体の流路設計や加工精度、表面仕上げが不十分な場合に発生します。液だまりが生じることで、液体の流れが妨げられたり、残留した液体が次の工程に影響を与えたりする可能性があります。

液だまりが発生するデメリット

液だまりが発生すると、以下のようなデメリットが生じます。

①流量制御の不安定化

流路が全て塞がれることで、液体が溜まったり急激に流れたりする現象が起こり、流れの均一性が損なわれるケースもあります。また、液だまりが流路を部分的に塞ぐことで、液体の流量が変動し、制御が困難になることがあります。特に精密な流量調整が求められる製造プロセスでは、この不安定性が製品の品質や生産効率に直接影響を与えます。

②製品の品質低下

液だまりが発生すると、ノズル内部に残留した液体が異物として扱われることがあります。この残留液が新しい液体と混ざり合うことで、製品の品質に悪影響を及ぼします。また、液だまりにより液体の純度が保たれない場合、次の工程で想定外の反応や不良品が発生するリスクも高まります。これにより、最終製品の一貫性が失われ、顧客満足度の低下につながる可能性があります。

③洗浄やメンテナンスの手間

液だまりがあるノズルでは、洗浄作業が困難になることが多いです。液体が残ることで、洗浄プロセスが不完全となり、内部に汚れや残留物が蓄積する原因となります。この結果、メンテナンスの頻度が増加し、生産ラインの停止時間が長引く場合があります。また、洗浄作業自体が複雑化するため、作業コストや労働時間が増加するという悪循環が生じることもあります。

液だまりが発生する理由

液だまりが発生する主な要因には、以下の3つが挙げられます。

①内面の面が粗い

ノズル内面の加工が不十分な場合、内面の表面粗さが液体の流れを妨げます。表面が粗いと、液体が凹凸に留まりやすくなり、液だまりの原因となります。この問題は特に、液体の粘度が高い場合や微量の液体を扱う場合に顕著です。

②吐出する穴の先端にダレが発生

ノズルの吐出面の加工精度が悪いと、穴の先端部分にダレが生じることがあります。このダレが障害物となり、液体がスムーズに排出されず、液だまりを引き起こします。また、ダレが存在すると流量制御の精度にも悪影響を与えるため、特に高精度を求められる用途では大きな問題となります。

③液体を押し出す内面のテーパーの中心部と吐出する先端内面の中心部がずれている

ノズル内面の設計では、液体の流れをスムーズにするために、入口のテーパー(傾斜)の中心部と出口穴の中心部が正確に一致していることが重要です。この中心部がズレている場合、液体の流路が乱れ、出口部分で液だまりが発生する可能性が高まります。特に微細なノズルでは、このズレが極端に影響することがあります。

液だまりを残さないために

当社では、液だまりを残さないノズル設計を実現するため、以下の3つのアプローチを採用しています。

①内面の仕上げ加工を行い、面相度を向上させる

ノズル内面の表面仕上げ加工を徹底的に行い、面粗度を最適化します。当社の精密加工技術により、ノズルの内面を鏡面に近い状態まで仕上げることで、液体が滑らかに流れるようになります。この結果、液だまりを大幅に減少させることが可能です。特に高粘度の液体を扱う場合でも、液だまりの発生を最小限に抑えられる加工精度を実現しています。

②吐出する穴の先端のダレを発生させないように高精度加工を行う

ノズルの吐出孔部分の加工精度を高めることで、先端にダレが生じないようにしています。当社では複数台の高精度マシニングセンタと微細穴放電加工機、高精度ワイヤー放電加工機を保有しているため、製品形状に応じた高精度の加工を行なう事ができます。

これにより、流体のスムーズな排出が可能となり、液だまりのリスクを排除します。

③液体の入り口のテーパーの中心部と出口の穴の中心部を合わせた加工を行う

ノズルの内面加工において、入口テーパー部分と出口穴の中心部の位置を正確に一致させることが重要です。当社では、3D設計データを用いたシミュレーションと高精度な位置決め技術、高精度な加工技術を組み合わせて、この一致を実現しています。このプロセスにより、液体が乱れることなく、スムーズに排出されるノズルを提供することが可能です。

 

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